SHOKEN MAGAZINE

更新日: 2024.11.05

「ワンルームマンション投資」で節税できる金額とその仕組み|「年収別の節税効果」から「失敗パターン」まで掲載

主にサラリーマンの、これからワンルームマンション投資を始める人向けに、「節税金額」や「節税の仕組み」「想定事例」「3つの失敗パターン」といった、初心者が最低限確認したいと思う内容について絞り込んで、できる限り簡潔に解説しています。

「ワンルームマンション投資」とは、「入居者の家賃収入で物件購入費を回収しつつ、長期間の運用やタイミングを見計らった売却益で利益を上積みする仕組み」であり、「節税」はメインの目的ではなく、いくつかあるメリットの一つという位置付けです。

しかしながら「購入初年度」や「所得の高い方」「相続・贈与を控えている方」にとってはそれだけ見ても馬鹿にできない効果があります。

結論、「ワンルームマンション投資での節税」は、

・「所得税」「住民税」等の節税が可能で、特に購入初年度の効果が大きい
・年収900万円程度の人が一番節税効果が大きく、「相続・贈与を控えている方」にもおすすめ
・サラリーマンにとって数少ない節税手段の一つ

です。

また、その節税効果は、例えば以下の様になります。

【年収別 期待できる節税効果額 例】

※ワンルームマンション投資で初年度に合計上200万円の赤字を計上した場合
年収 税率(所得税と住民税) 本来の納税額 節税による納税額 減額合計
500万円 30% 150万円 90万円 60万円
700万円 33% 231万円 150万円 81万円
900万円 43% 387万円 231万円 156万円
1,800万円 50% 900万円 688万円 212万円

特に年収900万円前後は税率が一気に10%も上がるので、節税による効果が大きいです。

この記事の要点
  • ワンルームマンション投資で節税できるのは「所得税」「住民税」「相続税」「贈与税」の4つです。
  • 年収900万円前後の人が一番大きな節税効果が期待できます。
  • ワンルームマンション投資は「副業」に該当しないので、サラリーマンでも始めることができます。
  • ワンルームマンション投資は、節税以外にも「年金代わり」「生命保険代わり」「利回りが一番安定している投資方法」「実物資産が手元に残る」というメリットがあります。

1.税金の種類別に解説!「ワンルームマンション投資」で節税できる仕組みと事例

ワンルームマンション投資での節税 まとめ
  • 年収900万円以上の人が、損益通算で年収900万円以下にすれば、所得税を10%下げることができる。
  • 住民税は所得に対して一律10%が課せられるので、所得が下がればその分減らすことができる。
  • 相続税と贈与税は現金で相続するのではなく、マンションを購入して「土地」「建物」に分けて「相続評価額」を適用させるようにする。

ワンルームマンション投資で節税できる税金は、「所得税」「住民税」「相続税」「贈与税」の4種です

ワンルームマンション投資をすると「家賃収入」が得られる一方で、「経費」や「減価償却」といった様々な支出もあります。
こうした支出を組み合わせて「会計上の赤字」を作り出すと、「所得税」と「住民税」が減額されるので、結果的に節税することができます。

また「相続税」や「贈与税」なども上手く活用することで、さらなる節税効果が期待できます。

以下、詳しく説明します。

「給与が高い人ほどお得!」所得税・住民税の節税

この章のポイント
  • 「建物購入価格の減価償却」「管理費」「修繕費」などを経費として計上する
  • 手取りは増やしたままで、会計上での赤字を作ることがポイント
  • 年収900万円以上の人は、所得税を10%も削減することができる
  • 住民税は一律10%なので、所得が減ればその分節税できる

ワンルームマンション投資は、特に購入した初年度に関しては、「得た家賃収入」よりも「減価償却費」「管理費」「修繕費」といった「支出」の方が会計上は上回る事が一般的です。

(※2年目以降は経費が減って、節税効果が減少する事ケースが多いです。)

この上回った分を、「損益通算」という形で所得(会社の給与)から差し引いた金額が「所得税」「住民税」の対象になるので、納税額を減らすことができます。

「赤字」と書くと「大きなお金が必要になる」と思われるかもしれませんが、「住宅ローン」を活用するので手元の現金はほとんど減らず、費やしたお金も空き室にさえならなければ家賃収入で回収できるように設計されている事が一般的です。

所得税の節税事例(シミュレーション)(初年度)

年収900万円のサラリーマンが、3,500万円のワンルームマンションを購入し、年70万円の減価償却をした場合の想定事例です。

【年収900万円のサラリーマンの収入と支出一覧表】

※諸経費や借入返済は概算です
物件の種類 中古ワンルームマンション
物件の購入価格 3,500万円
物件の家賃 13万円
空室率 5%
年間家賃収入 148万円
諸経費(管理費や固定資産税等) ▲ 15万円
借入返済(金利部分) ▲ 100万円
減価償却費 ▲ 70万円
実際の手取り 33万円
会計上の収支 ▲ 37万円

この場合、実際の不動産所得の手取りは33万円ですが、会計上は37万円の赤字になります。

【年収別 所得金額と税率一覧表】

課税される所得金額 税率 住民税 合計税率
195万円以下 5% 10% 15%
195万円~330万円以下 10% 10% 20%
330万円~695万円以下 20% 10% 30%
695万円~900万円以下 23% 10% 33%
900万円~1,800万円以下 33% 10% 43%
1,800万円以上~4,000万円以下 40% 10% 50%
4,000万円以上 45% 10% 55%

年収900万円の場合、通常は「所得税33%」「住民税10%」の「合計税率43%」が適用されます。

しかし先ほどの赤字分と年収900万円を損益通算することで所得863万円まで引き下げることができ、合計税率も「43%」から「33%」まで下がり、10%もの節税に成功したことになります。

参考:ワンルームマンション投資で計上できる経費

ワンルームマンションを運用するには様々な費用が発生します。

決算時に経費として計上しないと会計上の赤字を作れないので、費用は経費として計上できる項目は必ずチェックしておきましょう。

【不動産投資で経費計上できる項目一覧】

租税公課 固定資産税・都市計画税・登録免許税など
損害保険料 火災保険・地震保険など
修繕費 設備の修理・壁の塗り替え・塚の張替えなど
借入金の支払利息 不動産購入時に組んだローンの利息
管理費 建物管理会社や賃貸管理会社などへの支払い
広告宣伝費 入居者を集めるためにかかった広告費など
交通費 不動産会社との打合せや物件の下見などにかかる移動費
通信費 電話やインターネットの利用料金
新聞図書費 情報収集や書籍などを購入した費用
接待交際費 不動産会社や税理士などと打合せの際にかかった費用
消耗品費 カメラやプリンターなどの購入費用
税理士報酬 税理士への依頼費用

「相続を控えている人に!」相続税の節税

この章のポイント
  • すべて現金で相続すると「現金100%」が相続対象になる
  • 現金をマンションに変えて、「相続評価額」をハックする
  • マンションに変えれば「土地価値の80%」「建物価値の70&」が相続対象になり、「現金100%」よりも相続対象が抑えられる
  • 2,500万円までの財産は贈与しても贈与税の対象にならない
  • 2024年から、2,500万円とは別に年間110万円までも贈与税は非課税となった

相続税で節税する際に重要なのが「相続税評価額」です。
相続税評価額とは、相続税や贈与税を申告する際の基準となる評価額の事です。

不動産(マンション)の相続税評価額は現金等よりも低い価値で評価されやすいので、その分相続税が少なく計算され節税することができます。
具体的には、「土地は、実勢価格の80%程度」「建物は、実勢価格の70%程度」で計算されることが多いです。

相続税の節税事例(シミュレーション)

5000万円を「現金」VS「不動産」で相続した場合の税金の違いを明示する想定事例です。

仮に5,000万円をそのまま現金で相続する場合、5,000万円が評価対象になります。

一方で、2,000万円で土地を購入し、3,000万円で建物を建てた場合、「2,000万円×80%=1,600万円」「3,000万円×70%=2,100万円」の「合計:3,700万円が評価対象」となり、現金よりも1,300万円節税できることになります。

「相続を控えている人に!」贈与税の節税

贈与税は、他人から贈与された財産に対して課される税金のことです。
贈与税で節税する方法は、「不動産の実物で贈与する」「相続時精算課税制度を利用」の2つです。

不動産の実物で贈与する

相続税で説明した内容と同じで、現金で贈与すると全額が贈与税の対象になりますが、不動産の評価額は現金よりも低く評価されやすいので、その分贈与税が少なく計算され節税することができます。

相続時精算課税制度を利用する

相続時精算課税制度は、「2,500万円までの財産を贈与しても贈与税の課税対象とならない制度」です。

また2024年から2,500万円とは別に、年間110万円までの基礎控除も設けられました。年110万円以下の贈与であれば非課税であり、2,500万円の特別控除枠に加算する必要がありません。

贈与税の節税事例(シミュレーション)

時価が上がり続けている不動産を贈与するケースの想定事例です

時価3,000万円の段階で相続時精算課税制度を利用して贈与すると、相続する時点で時価が5,000万円まで上がっていたとしても、贈与時の時価3,000万円に対して贈与税が課税されるため2,000万円節税することができます。

2.節税時によくある「3つの失敗パターン」

失敗①:損益通算で赤字にならないと意味がない

損益通算で所得税を削減するには、不動産投資での収入が赤字になることが前提です。

帳簿上のみ赤字であれば問題ないのですが、経営上の問題で赤字になる人もいるので、あくまでも経営上は黒字で帳簿上は赤字という状態にする必要があります。

失敗②:赤字になると2件目以降に融資が受けにくくなる

初めから不動産を複数運用する計画の人は、1件目を赤字経営で申請すると2件目から金融機関の融資が受けにくくなります。

1件目は個人の属性によって融資の判断が行われますが、2件目からは1件目の不動産の運用状況が大きなポイントになるので、赤字経営では印象が悪くなり融資を受けられない可能性が高くなります。

失敗③:不動産投資と関係のない経費計上は認められない

初めて不動産投資をする人がやりがちな注意点として、「なんでもかんでも経費として計上する」という事です。

不動産による所得を減らすために関係のない費用までも経費として計上する人も少なくありません。場合によっては脱税行為に該当するので注意しましょう。

3.「節税効果」以外のメリット

メリット①:ローン完済後は家賃が年金代わりになる

基本的には、家賃収入からローンの返済にあてますが、ローン完済後は家賃収入がそのまま収入になります。

仮に30歳の時に35年ローンでマンションを購入した場合、完済する65歳までは家賃収入からローンを返済することになります。

完済するまでは、「1万円程度の負担」が発生しますが、ローン返済後は「家賃収入」がそのまま個人年金として収入になります。

メリット②:団体信用生命保険が生命保険代わりになる

団体信用生命保険は、不動産の購入資金を金融機関から融資を受ける場合、必ず加入しなければなりません。
団体信用生命保険に加入することで、死亡または高度障害となった場合、ローンの残債を保険金で返済することができます。

団体信用保険は、一般的な死亡保険や医療保険に比べて圧倒的に保険料が安く設定されているので、団体信用生命保険目的で不動産投資を始める人もいます。

メリット③:投資の中で一番利回りが安定している

ワンルームマンション投資は、他の投資商品に比べて「長期的に安定する利回り」を実現することができます。

そのため初心者向けの投資であり、「老後に備えたい」「中長期的な運用で安定して資産が欲しい」という方におすすめです。

メリット④:マンションが実物資産として手元に残る

ローン完済後は「実物資産」として手元に残すことができます。
実物資産ということもあり、マンションの価値がゼロにならず、インフレ対策としても有効です。

また家族などにも資産として残すことができ、家族は継続して家賃収入を得ることができます。

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